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今回は、「WGS84測地系モドキによるGPS衛星の経度緯度の求め方其の1」でお話したWGS84測地系の座標系に変換してみます。

実は、ここの概念が、本件では一番分かりにくい話になります。

まず「アルマナックデータによるGPS衛星の位置計算其の3」で求めたGPS位置(X,Y,Z)の座標系はそもそも何だったのかからお話しますと、地球中心慣性ECI(Earth-Centered Inertial)座標系というものであり、座標原点が地球の質量中心にあり、ニュートン力学の原理基盤となっている座標系です。まずこの時点で挫折しそうですねえ。

次に、ちょっとすっとばして、上記の座標系を今回の主題であるWGS84測地系の座標系に変換するわけですが、この座標系は地球中心地球固定ECEF(Earth-Centered Earth-Fixed)座標系と呼ばれ、GPS 受信機などの位置を記述するために、地球の自転と共に回転する座標系です。

どうでしょうか?なんとなくわかってきましたか?まず、単純に言いますと、今回おこなう作業は地球の自転を考慮し座標系を回転させてやるのです。

ええ!じゃあ今までは、そうじゃなかったの?と思う人もいるかもしれませんが、そうじゃなかったのです。物事には順序というものがあります。まあ、がんばってついてきてください。

図14
図1

まずは図1をみてください。以前、x軸方向の座標を決定する際、春分点方向という言葉を使いました。実は、その時はさほど重要ではなかったのでさらっと流したのですが、実は、今回の座標変換の種を明かせば、この春分点方向から、地球の自転軸で回転させ、地球のグリニッジ子午線に合わせるという行為なのです。

グリニッジ子午線は経度0ですので、ここにあわせるのは緯度、経度を求める上では明快だと思います。しかしながら、そもそも春分点とは何か?という話なのですが、これは

「黄道と天の赤道との2つの交点(分点)のうち、黄道が南から北へ交わる方の点(昇交点)のこと。この点が赤経0 度かつ黄経0度であり、この点を太陽が通過する瞬間が春分となる。」

というものです。ますます意味不明ですよね。とりあえず、天文学的に、星の位置を示すための基準点とでも思ってください。

ここで、図1のθはグリニッジ恒星時とよばれている角度になるのですが、これを求めるためGPS衛星の場合は、航法メッセージにも定義されている、地球の平均自転速度ωE=7,292,115.1467E-11を利用します。

実際にθを求めるには、GPS週の最初を、春分点方向 = グリニッジ子午線とし、そこから、現在時刻までの自転による角度のずれをωEを利用し求めるだけです。計算的には以下の通り。

θ = ωE * GPS週の最初から現在までの秒数

すでにおわかりでしょうが、GPS週はアルマナックデータより取得可能です。尚、グリニッジ恒星時も奥が深いのでここでは深く突っ込みません。

ここでθがもとまりましたので、すでに求めている。GPS衛星位置(X,Y,Z)を回転行列を用いて、θ回転させてみましょう。

数式18
数式1

これはいたって明快ですよね。正直、すごく単純に記載しましたが、天文学も奥が深く、簡単に語れるものではありませんが、計算はこんな感じです。

今日はここまで。

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